2014年 7月号 記事 2面
  •  この安倍内閣の閣議決定した「武力行使の新三要件」。一般的に三要件といわれる、ものは下記の図にあるものである。

     前提として「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」とある。これ自体は「日本の武力の行使」の要件であり、集団的自衛権に直接結びつくものではない。これだけを見ればある意味、自衛隊のあるべき姿を念押ししただけの様である。むしろBの「必要最小限の実力行使にとどまる事」と言うのは、いざという時に、「必要最小限」にこだわり過ぎて、自衛隊員、ひいては、国の安全にマイナスのように感じる。
     この新三要件のBは、同時に発表された15事例で集団的自衛権を認める為の、布石のように思える。
     これまでの日米安全保障条約に基づく、自衛隊の行動派は、「日本の有事の際のには、米国は日本国を守る手助けをするが、米国の有事の際には日本は何もしない」と言うものであった。しかし今回の15事例のJで「米国に向けわが国上空を横切る弾道ミサイルの迎撃」が出来る事になる等、「安部政権は日米安保を今までの様な片務性から相務性に使用としている」と言う向きがあるが、米国本土が有事の際に、日本の自衛隊が米国本土に上陸して、米国を守る訳ではない。
    したがって今回の閣議決定で日米安保条約が「相務性」になったと言う事は出来ない。

     @〜Bはいわゆる「グレーゾーン」と言われるものだが、@は例えば、尖閣諸島に、偽装漁民が上陸した際等を想定したものであろう。しかし、中国国籍の偽装漁民が尖閣諸島に、漂流した形で上陸した際に、いきなり「自衛権発動」し、武力行使をする事は、事実上ありえない。中国の偽装漁船に「偽装」とでも書いてあれば、出来るかもしれないが、「偽装」していると言う事は、あくまでも見かけは漁船であり、一般人の漁民だ。上陸され相手側が武力攻撃でもしてこない限り、「自衛権の発動」は難しいだろう。
     
     C〜Fは集団安全保障に当たると言われるものだ。集団的自衛権と集団安全保障は一見似ているが、全く別物である。ごく簡単に言えば、「集団的自衛権」は自国を侵略してきた、敵国に条約国や友好国と共に集団で自衛する事。「集団安全保障」は、ある国が、他国に侵略等された時に、国連の安保理で承認された、集団武力行使である。

     G〜Nが問題になっている「集団的自衛権に当たる」と言われている事例である。先にも例をあげたJの「米国に向けわが国上空を横切る弾道ミサイルの迎撃」を「わが国上空を通過するのだから、個別的自衛権だ」と言う向きがあるが、これは全くの間違いで、「日本の領土領空を通過する」弾道ミサイルを「日本の上空で迎撃、打ち落とすのではない」。弾道ミサイルは、大砲や、例えば野球選手が投げるボールのように、「初速が速く、時間毎に、重力と空気抵抗で遅くなる」ものではない。
    弾道ミサイルは、いわばロケットである。スペースシャトル等、宇宙ロケットの打ち上げシーンを、TV等で見たことが有ればわかると思うが、打ち上げ直後はスピードは遅く、上空に上がるに比例するように、スピードが増していく物である。
    したがって「米国に向けわが国上空を横切る弾道ミサイルの迎撃」は公海や日本海、太平洋上空で打ち落とそうとするもので、日本上空で打ち落とすものではない。物理的にも敵国が弾道ミサイルを発射した直後が、一番打ち落としやすい事もあるが、日本上空で打ち落としたら、そのミサイルは日本に落ちてくるではないか。ましてや、そのミサイルが核ミサイルであったなら、大変なことになる。

初めての方へ 記事をご覧になる前に是非一度、ご一読下さい。

2014年7月
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