2015年 1月号 記事 2面
  • ISIL ( 自称国家 ) とは、シャリア ( イスラム法 ) に基づくスンニ派のカリフェイト(カリフ制国家)の国家再建を目指している過激テロ組織である。

    ISIL( Islamic State In Iraq And The Levant)は 2014 年 6 月 29 日に、 カリフ 制、 自称イスラム国( Islamic State )と名乗り国際社会を無視して、一方的に独立を宣言した。

    最高指導者は イブラヒーム・アッワード・イブラヒーム・アリー・アル・バドリー・アル・サマッライ( Ibrahim Awwad Ibrahim Ali Al-Badri Al-Samarrai )で、現在は アブ・バクル・アル・バグダディ( Abu Bakr al-Baghdadi )と名乗っている。

    この人物は 1971 年、イラクのサーマッラー生まれ。預言者ムハンマドの出身部族であるクライシュ族の血を引くブーバドリー族の出身であるとされ、バクダッドのイスラム大学(現在のイラク大学)でイスラム学の博士号を取得している。 2004 年 2 月にアメリカに対する抵抗組織の設立に関与した容疑で拘束され、キャンプ・ブッカに収容された経歴がある。

    ISILの成り立ちは 2003 年後に結成されたアルカイダ系過激組織に起源しているといわれる。アルカイダとはご存知の通り「反米テロ組織」である。その組織の一部が 2011 年に拡大をしたシリアのアサド政権と、アメリカ等に後押しされた反政府勢力との内戦に加わり、 シリアや周辺国から流れてきたスンニ派武装 グループが加わり急激に勢力を拡大した。

    自称「イスラム国」と名乗っているが、世界中のどの国も国家として認めていない。また国連もこのISILを国家として(国連加盟国として)認める事はありえない。

    なぜなら当サイトをご覧頂いている方ならお解かりと思うが、 2014 年 7 月の特集の一面にもある様に国連憲章二条四項には次のようにある。

    「全ての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国連の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」
    図@

    と定めている。したがって武力によって領土(支配地域)の拡大を宣言しているISILを国連は認めるわけにはいかないのだ。

    ISILは 2020 年までに、「かつて一度でもイスラム圏であった地域の全てを領土(支配地域)を取り戻す。」と宣言しているのだ。

    図A

    その範囲は西はスペインから、東はインドネシアまで及ぶ。図A

    今現在ISILが制圧している地域はイラク北部とシリア北東部等に及びその範囲は 図Aの地域 にまで広がっている。これを後 5 年で 図@ まで、武力侵略すると宣言しているのだ。

    その武力は?と言うと、総戦闘員は 3 万人とも言われているが、そのうちの半数1万5千人以上が外国人(イラク・シリア人以外)である。その国籍は世界中の80カ国にも及ぶと言われている。

    日本の北海道大学の学生が、ISILの戦闘員になろうとした事が、TVでも話題になったが、現在のところ日本人戦闘員はいないと思われる。

    アメリカ・オバマ大統領

     またアメリカがオバマ政権になって、イラクから撤退する際にイラク政府軍にアメリカの陸軍の最新兵器(ライフル・重火器・戦車等)を譲渡しているが、イラクにISILが侵略して来た時に、イラク兵は全てを投げ捨てて(着ている軍服まで)逃げてしまった。その為ISILは、アメリカの最近型の兵器を多数所持している。

     しかしそれだけの兵器と 3 万人程度の兵力で、後 5 年で 図@ の範囲を侵略できる訳は無い。「ただ出来なかった」では、最高指導者の威信が問われかねない。それだけに今後どんな無茶な事をするかが危険だ。この様なある種のカリスマが、その化けの皮が剥がされそうになった時には暴挙にでることが多い。核保有各国は絶対にISILに核兵器が渡らない様に全力を尽くさなければならない。

    忘れてはならないのは、このISILの制圧している地域には、ISILの戦闘員だけがいる訳ではない。この地域には約800万人もの地元住民が、現前と居住しているのである。またISILから逃れる為、国連等の情報によれば,イラクでは難民の数が約 180 万人,レバノンではシリア難民の数が約 118 万人(レバノン全人口の 4 分の 1 以上)に上っていると言う。日本に置き換えると 3,000 万人以上もの人が難民として突然入国して来るという事だ。

     しかし難民として約300万人がISILから逃れているが、依然800万人が居住しいて、その中には自発的に居住し続けている住民も少なくないようである。

     ISILは推定 2,000 億円以上ともいわれる資産を持ち、またイラクやシリアの油田も制圧している為、 1 日 2 億円の原油密輸利益があると言われている。「国際社会がISILの原油を買うはずがない」と思われるかも知れないが、売り先は何と“シリア”だと言われている。領土を侵略されているシリアが何故ISILから、しかもシリア国内の油田から採掘された原油を買うのか?不思議に思われるかもしれないが、シリアにはそれなりの理由がある。詳しくは後述。

    この豊富な資金で戦闘員を地元シリアの平均月収の 3 倍の 400 ドルを給料として支払い戦闘員を増兵している。また金銭面という意味では元々イスラム地域に居た人達が、移民として西洋諸国に行きキリスト教社会に溶け込めず、また差別や雇用状況の悪さ等から、その 2 世や 3 世達が戻ってきているとも言われている。これはEUの経済問題と無関係ではない。

    またその資金と、サダム・フセイン大統領時代の官僚等が組織していると言われる、「財務担当」「国防担当」「広報担当」という役割を持つ行政機関の「評議会」が存在し、さらにその下にはシリア担当とイラク担当の副官が半数ずつおり、副官に任命された 24 人の県知事がその下にいて、彼らが支配地域に配属され治安や徴税などを行っていると言われている。イスラム法の厳格な運用で戒律が極端に厳しく、酒、タバコが厳禁、女性には全身を隠し目だけを出す黒い服装の着用を義務付け、一人での外出も禁止、さらに夜 7 時以降は男女を問わず全員外出禁止令を発令。先進国であればこれは「戒厳令」だ。「ヒスバ」と呼ばれる宗教警察が市民を関し、検問所を各所に設け、住民の出入りは厳格に管理されている。一方で支配地域のインフラ整備等も組織的に行っている。

    道路、電気、水道、学校など豊富な資金力を使ってインフラを整備し、それを享受する住民から徴税を行っているようだ。

    住民からしてみればフセイン政権崩壊後、内戦状態が長く続きインフラも杜撰になり、治安も最悪の状態だった事から、ISILの統治を歓迎している住民がいても仕方がない。

    国家として統治の仕方は、先にも記したように「フセイン政権下の官僚」や「欧米諸国で教育を受けた者」や「周辺国の富裕層の過激思想家」の援助、そして豊富な資金力をもってして、それなりに国家の体をなしている。

    特にプロパガンダには力を入れていて、ユーチューブ、フェイスブック、ツイッター等で彼らが発信している映像は評価が高い。その技術は先進国のトップレベルのようにさえ見える。CGを駆使しBGMの使い方、カット割り全体的な構成はある意味評価が高い。

    この映像等に感化されて先進国から、ISILに参加している若者がいるようである。

    イスラム教 聖地 メッカ

    ISILはイスラム教信者からも敵視されている。イスラム教と言うと「過激組織」のイメージが強いが、全世界の五分の一の人口が「イスラム教信者」と言われ、そのほとんどの人達は「人殺しはイスラムの教えではない(当たり前だが)」と言っている。

    日本人はイスラム教信者にあまり馴染が無いが、イスラム教=過激組織等と間違った認識を持ってはいけない。「敬虔なイスラム教信者ほど温厚な人が多い。」と言う言い方でさえ失礼だと思う。多くの人に認めら得ている宗教の敬虔な信者は、どの宗教でも温厚な方が多く、勤勉で親切である。特に、あまり知られていないが、イスラム教(の国々)の方は親日家が多い。

    イスラム教信者の方々を誤解して、どこかであった「ヘイト活動」の様なことが起きないようにしたい。日本人の資質が問われる。

初めての方へ 記事をご覧になる前に是非一度、ご一読下さい。

2015年1月
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