2015年 1月号 記事 3面


  •   このイラク戦争は 2002 年にアメリカを中心とした、国連総会で「イラクは大量破壊兵器を多数所持している」と指摘され、国連の要求により同年 9 月 17 日にイラクは国連の査察団を受け入れた。 9 月 24 日には、英国のブレア首相は「イラクは生物兵器、化学兵器を保持している」と断言。 11 月 8 日には国連決議 1441 を国連安保理の満場一致で採択され、 11 月 13 日イラクは無条件査察を受け入れた。 12 月 7 日イラクは国連決議 1441 に対する中間報告書を提出した。

    ジョージWブッシュ元大統領

     それに対して 2003 年 1 月 9 日国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)と国際原子力機関(IAEA)は国連安保理に「イラクが国連決議に違反した証拠、形跡はない」と中間報告した。そして 1 月 27 日には国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)から「イラクが大量破壊兵器を所有している証拠は全く無い」と最終報告書を発表。

     それにもかかわらず翌日、アメリカのブッシュ大統領は「イラクが大量破壊兵器を持っている形跡がある」と演説。 2 月 5 日にはアメリカ国務長官のコリン・パウエルが「イラクが大量破壊兵器を持っている新証拠」を国連安保理に提出した。

    コリン・パウエル

    アメリカは国連安保理に「イラクへの武力行使」を訴えたが、 2 月 10 日国連安保理の常任理事国であるフランス・ロシアとドイツが査察継続を求める共同宣言を発表した。

     しかしそれでも、ブッシュ大統領は 3 月 6 日に「イラクに対する軍事行動は国連安保理決議に拘束されない」とアメリカ単独でのイラクへの武力行使を明言した。それに対し国連のトップである、アナン事務総長は「国連安保理の承認のない、イラクへの軍事攻撃は国際法を侮辱したものであり、国連憲章違反だ」と声明を発表した。

     国連の事務総長にそこまで言われても、アメリカの意思は固く 3 月 17 日にブッシュ大統領はテレビ演説で、“イラク政府”に対し「フセイン一族と主要閣僚の 48 時間以内でのイラクからの国外退去を命じる」最後通告を行った。

     翌日 18 日イラクのフセイン大統領は「徹底抗戦」を宣言。その翌日 2003 年 3 月 19 日イラク戦争が開始された。その模様は日本では主要各局が連日連夜生中継で放送され、 4 月 11 日にアメリカ政府が「フセイン政権は事実上崩壊」と発表するまで続いた。

     因みに主要各局が絶え間なしに戦況を放送していた為か、当時のテレビ東京の夕方の番組「ムーミン」は視聴率が 30 %を超えたと言う。いい加減、他国の戦争の状況を見飽きたのだろうか?特に子供たちは。

     5 月 1 日にブッシュ大統領は「大規模戦闘終結宣言」を発表した。その後アメリカ軍による、徹底したサダム・フセイン捜索作戦が行われ、 12 月 13 日イラク中部においてアメリカ 軍に拘束された。

    佐藤正久現参議院議員

     2004 年 2 月には日本の自衛隊がイラクのサマワに派遣された。現在参議院議員 佐藤正久氏が「髭の隊長」と呼ばれ、TV等で繰り返し放送されていたので覚えている方も多いのではないだろうか?

    イギリスのブレア首相

     そして 6 月には「イラク暫定政権」がついに強行的に発足した。しかしその年の 9 月には、アメリカのパウエル国務長官も、イギリスのブレア首相もイラクには大量破壊兵器は存在していなかった事を認めた。

     10 月 6 日国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)の調査団長も「イラク戦争開戦時に、イラクには大量破壊兵器は存在しなかった」とする、最終報告書を国連に提出した。

     2005 年 3 月 30 日には「イラク開戦時の大量破壊兵器存在の情報は誤りだった」事をアメリカの独立調査団が最終報告として発表。 9 月にはアメリカのパウエル国務長官が、 12 月にはアメリカブッシュ大統領が、同じく「イラクの大量破壊兵器の存在がなかった」ことを認める発言をしている。

     2006 年 5 月には暫定政府から選挙による正式な政府が誕生した。これはアメリカが「イラクは大量破壊兵器を持っている⇒イラク国内で圧政を行っている⇒イラクを民主化する」と、都合の良い後付の理屈で発足した政権であることを忘れてはならない。

     そして「イラクは大量破壊兵器を所有している」とされ始まった戦争は、いつの間にか「イラクを民主化する」戦争にすり替えられ、その年の 12 月 30 日にサダム・フセイン元イラク大統領は処刑された。その様子はTVでも放送され、とても粗雑な扱いで、如何に死刑囚であろうと、その人命や元大統領に対する“敬意”は微塵もなかった。

     サダムフセインの行った非道な国民に対する行為は非難されるべきである。しかしイラク国内で少数派のスンニ派のバース党のフセイン政権が、国内をまとめるにはある程度の強行手段はとらざるを得なかったのではないか?サダムフセインの絞首刑を行ったのはシーア派の部族によるものとされている。

     そこまでして何故アメリカはイラクを、フセイン大統領を事実上占領したかったのだろうか?一部には石油の為と言われているが、その為のアメリカ政府の打撃は、計り知れないものがある。

    日程一覧表

    2002年
    国連総会でイラクの大量破壊兵器保有指摘
    9.17
    イラク 国連の査察受け入れ
    9.24
    英ブレア イラクは大量破壊兵器所持発言
    11.8
    国連決議1441満場議決
    11.13
    イラク 国連の無条件査察受け入れ
    12.7
    イラク国連決議に対する習慣報告書提出
    2003年
    1.9
    国連監視検証査察委員会と国際原子力機関が国連安保理に
    「イラクが国連決議に違反した証拠、形跡はない」と中間報告
    1.27
    国連監視検証査察委員会の最終報告「イラクが大量破壊兵器を
    所有している証拠は全く無い」
    1.28
    アメリカのブッシュ大統領「イラクは大量破壊兵器保有」発言
    2.7
    米国務長官パウエル 「イラク大量破壊兵器所持」証拠提示
    2.10
    国連安保理の常任理事国であるフランス・ロシアとドイツが査察継続を求める共同宣言を発表
    3.6
    ブッシュ大統領「イラクに対する軍事行動は国連安保理決議に拘束されない」と明言
    アナン国連事務総長 ブッシュ大統領発言を批判
    3.17
    ブッシュ大統領はテレビ演説で、“イラク政府”に対し「フセイン大統領に対し48時間以内でのイラクからの国外退去を命じる」最後通告
    3.18
    フセイン大統領「徹底抗戦」を宣言
    3.19
    イラク戦争開戦
    4.11
    アメリカ政府が「フセイン政権は事実上崩壊」と発表
    5.1
    ブッシュ大統領は「大規模戦闘終結宣言」を発表
    12.13
    フセイン大統領拘束
    2004年
    4.8
    イラクで日本人人質事件
    6.2
    イラク暫定政権発足
    9.3
    米パウエル国務長官 イラクの大量破壊兵器保有を否定
    9.28
    英ブレア イラクは大量破壊兵器所持を誤りと認め謝罪

    10.6

    国連イラク調査団「イラクに大量破壊兵器なし」と最終報告
    2005年
    12.14
     

    そしてシリア内戦

     シリア内戦は 2011 年 1 月 24 日よりシリアで続いている、アサド政府(イスラム教シーア派)とそのアサド一族の圧政に抵抗する反対体制(同スンニ派)との武力衝突である。

    アサド政権は欧米各国からその独裁政権を批判されていて、反体制派にはアメリカ軍の武器が供与されていると言われている。

     そしてその内戦に乗じて、イラクにいたISIL(当時アルカイダ)が反体制派(アルカイダが多く潜入していると言われている)に加担し、アサド政府軍との内戦に参加した。ところが突然ISILは反体制派に攻撃の矛先を向けた。ISILを友軍だと思っていた、反政府軍は大打撃を被ったと言う。

     そしてISILはシリアの北東部を制圧した。欧米各国は今、ISILを攻撃すればアサド政権を助けることになり、しかしアサド政権の圧政をすでに非難し続けてきた以上助ける事は出来ず、また反体制派にもアルカイダが多く潜入しており、あまりに加担すればまた、テロの現況に成りかねず明確な打開策は無い。

     一方アサド政権は今まで、国民と国際社会に非難を浴び続けてきている。しかし反体制派が崩れ、「ISILかアサド政権かどちらを選びますか?」と言う選択肢に持っていくしか延命の道は無い。だからISILの密輸する原油をアサド政権が買ってISILがある程度維持して欲しいのだ。

     ISILのイラク政府軍とシリアの内戦参加はアメリカの政策の産物でありまだまだ終わりそうに無い。

初めての方へ 記事をご覧になる前に是非一度、ご一読下さい。

2015年1月
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